オリンピック女子マラソンを観戦して
今日は昨日2024年8月11日に行われたオリンピック女子マラソンについていち市民ランナーとしての感想を語ってみたいと思います。総評としては、衝撃的!ものすごいものを見せてもらったな、という感じで鳥肌止まらなかったし笑っちゃうくらいのすごさだったし、ラストは泣けちゃうし…非常に忙しい2時間半でした。
コースは非常にタフな設計になっていました。路面は石畳が何度も登場するなど一定じゃなかったし、幅が狭いところも何度もありました。アンダーパスも複数回あって、細かなアップダウンは少なからず選手の脚のHPを削ったことでしょう。14kmからのダラダラ坂は非常に辛そうだったし、28kmすぎからの壁みたいな上りは中継を見ていても明らかにわかるペースダウンでチビりそうになりました💦
最終的にこれらに打ち勝った選手たちがまさにサバイバル的展開でゴールにたどり着く、そういうマラソンでした。いやあ、見ていてハラハラ・ドキドキしましたし面白かったですが、自分が走りたいかと言われると…うーん、遠慮したいですね💦 でも、パリ市内の名所をたくさん巡ることができるコースだったので、電動自転車で回るのであればやってみたいかも(笑)
ゴールシーンも画になるなあ✨
鈴木選手6位の快挙!大健闘!
日本人選手トップは鈴木優花選手でした。先述したコースのアップダウンなんのその!目立つ失速もなく、力強い走りをラストまで魅せつけてくれましたね!前田穂南選手は欠場、一山選手も序盤から後方へ下がりましたので孤独な戦いだったとは思いますが、見ていて不安になるようなシーンは全くなく、またケニアやエチオピアなど海外勢にも負けてない素晴らしい走りでした。今回のオリンピックに向けてコロラドのボルダー(標高1655m)でトレーニングを積んだそうなのですが、その鍛錬がしっかりと活かされたのでしょう。
このメンツの中に日本の鈴木選手がいる!なんて誇らしいことでしょうか
ゴール後には満点の笑顔でインタビューにも元気いっぱいに応えてくれていました。あれだけ過酷なマラソンを走った直後なのにすごい!とここでも感動しました。いや本当は結構疲れているし脚にもキテる状態だったのではないでしょうか。でもそういう部分を見せずに力強い立ち振舞を見せてくれた鈴木選手には勇気をもらえましたね。ありがとう鈴木選手!
ちなみに今回鈴木選手が履いていたシューズはナイキの超高速シューズ、アルファフライ3でした。正式にはアルファフライ3エレクトリックという名前で41,800円です💦
現在24歳の鈴木優花選手、今後の活躍がまだまだ期待できる年齢です。ロスオリンピックも含め楽しみですね!ナイスラン!
一山麻緒選手のスマイルに涙
鈴木選手とは対照的に、序盤から少しずつ後ろに下がっていってしまった一山麻緒選手。その実力からすると51位というのは悔しい結果となってしまいました。もしかしたら万全ではないコンディションだったのかもしれませんね。途中でリタイヤもあるかな、と心配していたのですがそこは最後までしっかりと走りきってくれました。そんな一山選手もまた、素晴らかったです。
ゴールの瞬間にはスマイルも見られました。おそらくめちゃくちゃ複雑な心境だったのでしゃないでしょうか。実力を出しきれなかった悔しさ(惨敗と表現されていました)や、応援してくれた人たちへの申し訳無さ、それでも最後まで完走できた安堵感、支えてきてくれた方々への感謝の気持ちなどなど(勝手な想像です。もっともっと複雑な感情があったと思います)。それが一気に溢れ出たのが直後のインタビューの涙だったと思います。見ているこちらもその色んな感情が伝わってきて思わずもらい涙…(T_T)
一山選手は現在27歳。「もう十分かな」というコメントから考えるともしかしたら引退も考えているのかもしれません。代表選手としてトレーニングをしているとなかなか夫婦で過ごす時間もとれないようですし。どちらにせよ、温かく見守っていきたいですね。一山選手、ナイスラン!感動をありがとう!
ハッサン選手のヤバさ
女子マラソンで優勝したのはオランダのハッサン選手でした。これには納得もしたし、でもすごすぎてアンビリーバボーだし、理解が追いつかないし、でもう大変です(笑) いや、どう考えてもヤバすぎでしょう、ハッサン選手。だって今大会、5000メートルや10000メートルにも出場していて、しかもどちらもメダルを獲っていて、しかもしかも、10000メートルの決勝から1日半しか経っていない時点でのフルマラソンですよ?
え、10000メートルはウォームアップだったんですか?
と言いたくなるような異様さ。常識では考えられないスケジュールだし、でも実際にそれをやってのけての金メダルですからね。ワケわかりません(笑)
そんなハッサン選手は終始、後方から前の見据えながらの展開で、トラック競技の時と同じようなハッサンスタイルで運んでいました。思えばその道中、完全に勝利への方程式が組み立てられていたのかもしれません。各選手のコンディションだとか走り方のクセだとか疲労度だとか、そういったことも計算に入れつつの自分の勝ち方を導き出す、的な。
ラストはトラック競技のようなスピード感で、いやこれマラソンですよね?と思わず画面にツッコみました(笑) 競っているエチオピアのアセファ選手との接触もあったりしてゴール直前は息を呑む展開に。ゴールテープを切る瞬間は世界中の誰もが「ハッサン!ハッサン!」と叫んでいたことでしょう。満場一致で大納得のハッサン劇場のクライマックスでした。
ゴール後も疲れを見せず笑顔で声援に応じるハッサン選手
そんなハッサン選手が頭に着けていた面白い形状のバンドはオミウスというテクノロジーが使われたアイテムらしいです(NARUTOのコスプレではありません)。キプチョゲ選手も着けていましたね。これは濡らすことで冷却効果が期待できるアイテムのようなのですが、お値段的にちょっとお試しで、という感覚ではポチれないアイテムでした(笑)
おおう・・・💦
ちなみにハッサン選手が履いていたのも鈴木選手と同じアルファフライ3エレクトリックでしたね。
ハッサン選手の経歴やその言葉には学ぶことがたくさんあります。もともとはエチオピアの出身で2008年にオランダに難民として移住した過去があります。「人生に完璧はないんです。山あり谷あり、それが人生を美しくするんです」という言葉はズシーンと響きます。これからもマラソンをはじめ色んな種目で観衆を沸かせ、勇気をくれることでしょう。ありがとう、ハッサン選手!
直前に欠場、前田穂南さんの悔しさ
女子マラソンの直前に発表された前田穂南さんの欠場、日本中に悲鳴が響きました。今年1月に日本新記録を打ち立ててパリでも大活躍が期待されていた前田穂南選手ですから、僕も含め多くの人が落胆したことでしょう。本人の悔しさたるや、想像してみてもまるで想像できないくらいの悔しさだと思います。欠場が決まった時の気持ちはどのようなものだったのか…。
世界のトップを目指す選手の練習です。ケガや故障は紙一重のところなんだと思います。でもどうしても、なんとかならなかったのかなと思ってしまいます。最高のトレーナーさんやマネージャーさん、スタッフさんたちが細かく選手の練習内容や健康管理をされているはずです。オリンピックで最高の結果を出すための努力を本人含めみんなが頑張っていたのだと思います。そのどこかに見誤ったものがあったんじゃないかと。別に誰かを責めれば済む問題ではありません。次にこうしたことが起きないために、今回のことを必ず活かしてほしいなって思います。
前田選手の無念さ、本当に想像を絶するくらいのものでしょう。ここまで積み上げてきたもの、時間、犠牲にしたこと。レースを見ながら何度も、ここに前田選手がいたらどうだったんだろうと思わずにはいられませんでした。
今でも日本新記録の衝撃は鮮明に覚えています
また、補欠問題についても課題が浮き彫りになりました。こちらにも書かれておりますが、補欠選手の解除の時点(もう補欠出場はありません、これまでありがとうございました。ご自身の日常に戻られてOKです的な時点)までに本戦に参加する選手のコンディションについての最終確認がきちんと行われていたのかな、と。前田選手の参加が難しいかもしれないのなら、そういう時のために準備をしてきていた選手(今回でいえば細田あい選手)がいるのだからそちらへの交代についても検討しないといけません。そういう検討がしっかりと行われていたのでしょうか?「もしも」の時のために準備していた選手からしてもモヤモヤする今回の決定だったと思います。
それでもマラソンは素晴らしい
キプチョゲ選手の今後も気になります
前日の男子では赤崎暁選手の6位入賞、まさかのキプチョゲ選手DNF、前田穂南選手のDNS、鈴木選手の大健闘、ハッサン選手の理解不能な大勝利など、本当に悲喜こもごもな2日間でした。観る方は2日間でしたが、それに挑戦する選手たちは膨大な時間をトレーニングに費やしてきたんだと思います。大きな目標に到達するためにはそれだけの時間と努力が必要なんですよね。だからこそ、その結末を迎える瞬間というのは本当に素晴らしく、美しいものなんだなと。いち市民ランナーとして、僕の目標など塵芥にもならぬ小さなものですが、彼らにもらった勇気と感動を力に変えて新しいシーズンもマラソンを全力で、楽しみながら挑戦(チャレンジ+エンジョイ=チャレンジョイ)しようと思います。
今回も最後までありがとうございました!チャレンジョイ!
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